
すすきのの片隅で、いまだに変わらない昭和の香りが漂う喫茶店がある。
トーストの香ばしい匂い、アルミ製の皿に盛られたケチャップたっぷりのナポリタン。白い湯気が立つハムエッグ、そしてどこか懐かしい「テーブルチャージ」の文字。
スマートフォンの明かりではなく、窓辺からの自然光で読み取るそのメニュー表に、心がふっと温まる瞬間がある。
🍝ナポリタンは、もはや“洋食”ではない
かつて「洋食」と呼ばれたナポリタンは、実は完全なる日本発祥メニュー。昭和の喫茶店では、炒めた玉ねぎとピーマン、ウィンナーが当たり前の具材。
鉄板で出てくる場合は、下に玉子が敷かれているという“地域仕様”も多い。すすきのでも、創業40年の老舗スナックやバーで「ナポリタンまだある?」と聞く常連は少なくない。
🥚ハムエッグは「昭和の朝」の象徴だった
目玉焼きの黄身を崩しながら、添えられたハムと絡めて白飯をかきこむ。
そんな朝を、すすきので迎えたサラリーマンや出張族も多かった。昭和の喫茶ではモーニングセットの定番メニューとして、ハムエッグ+トースト+コーヒーというセットが人気を博した。
最近では、ホテルのバーや再現系カフェでも「ノスタルジックプレート」として提供される例も増えている。
🧾テーブルチャージの向こうに“人”がいた時代
「300円、チャージです」と言われて、何となく了承していたあの時代。
実はこの“テーブルチャージ”には、音楽・席料・ママのお話代…様々な“人とのつながり代”が含まれていた。
すすきのの昭和スナックでは、チャージ=店との信頼関係の入口。メニューに書いていなくても「それが当たり前」という文化が息づいていたのだ。
ナポリタン、ハムエッグ、そしてテーブルチャージ。これらは料理であると同時に“時代の記憶装置”だと思うんです。
料理の見た目はシンプルでも、そこには“昭和を生きた人たちのストーリー”がたくさん詰まっている。今こそ、その味をもう一度知ってほしいですね。