札幌市中央区の円山動物園の敷地内に設置された箱わなに、1頭のオスのクマがかかり、11月12日午前11時30分ごろ、札幌市がこの個体を駆除したと発表した。駆除されたクマは体長113 センチで、9日以降、同園周辺で繰り返し出没・動物用エサを食べるなどしていた個体と市は見ている。
札幌市の発表によると、クマは11月12日、円山動物園敷地内に設けた箱わなにかかっているのが確認され、その後、駆除された。市は毛の色合いや体長・脚部のサイズなどから、9日ごろから同園周辺で確認されていた出没個体と「同一とみられる」としている。
9日には、円山動物園敷地の登山道・遊歩道付近で、クマのものとみられる足跡が見つかったとの報告があり、市が出没を把握していたことが確認されている。
市は今回の駆除について「動物園・公園利用者および周辺住民の安全確保のため必要な措置」と説明。再発防止策として、登山道・遊歩道周辺の巡回強化、箱わな設置の継続、出没情報の早期共有を挙げている。
札幌市では近年、クマの市街地近接出没件数が増加しており、2024年度は120件を超えた。暖冬傾向や山間部での餌確保難、都市と自然の接点の拡大などが背景とされており、住宅地・観光地を問わず警戒が高まっている。
円山動物園および隣接する円山公園では、箱わなで捕獲・駆除された個体の特徴から、同一のクマが9日から動物用エサを食べるなどしていた痕跡と一致していることから、連続的な出没を抑えた初期対応として評価されている。
今後は、クマが再び登山道や公園内に侵入するリスクを踏まえ、市・動物園・住民が一体となった情報連携・防災体制の構築が求められている。
都心に近い動物園でのクマ駆除は、自然と都市が近接する札幌ならではの現実を浮き彫りにした。迅速な対応は評価できるものの、同時に「共存」の視点が地域レベルで改めて問われている。





