
8月下旬から北海道内各地で急増している大型の蛾「クスサン」が、札幌市・すすきのを含む繁華街にも出現し、市民の間で話題を呼んでいます。今季の発生状況とその影響について、真面目な調子でお伝えします。
光に群がるクスサン、街灯に集まる姿も
HTB北海道ニュースによると、札幌市内の街頭や建物の照明に手のひら大のクスサンが群がり、10~30匹に及ぶ姿も報告されています。ある市民は「気持ち悪かった」と話し、その異様さに驚いたそうです。記者も現場で「壁に30匹ほど蛾が止まっていた」と証言しています。
朝日新聞も繁華街・すすきののネオンや街灯に集まるクスサンの姿を確認し、「落ち葉だと思ったら蛾だった」「モスラを連想した」といった市民の困惑の声を紹介しています。
今季の状況は「やや多め」だが…ピークは過ぎつつある
専門家の見解も紹介されています。北海道立総合研究機構・林業試験場の研究員・内田葉子さんは、今季の発生は例年よりやや多めであるものの、「大発生」とまで呼べる状況ではないとしています。
また、産卵後の成虫は非常に短命で、8月下旬〜9月上旬に羽化のピークを迎え、寿命は1週間から10日程度。そのため、9月中旬には発生が収束に向かう見通しとされています。
対策と注意点
クスサン自体には毒性はありませんが、羽根の模様や大きさから強い不快感を抱く人もいます。光に集まる習性があるため、夜間の外出時にはLED照明の使用など「光を控える」工夫が推奨されます。
また、幼虫による食害も懸念されており、特にウダイカンバやクリなどの広葉樹が被害を受けやすいため、卵の段階で除去するなどの対策が重要です。
クスサンの出現は、自然界の驚異が都会にまで迫って来た象徴。毒はないとはいえ、予期せぬ出会いだった人には衝撃だったでしょう。発生は短期間とはいえ、風景の一部として語り継がれる“北海道の夜の伝説”になるかもしれません。