
フィリピン航空は11月24日、札幌・新千歳とマニラを結ぶ直行便の運航を再開した。再開は約5年ぶりで、冬季4か月限定の週3便。北海道方面への旅行需要に合わせた復活で、競合参入後の市場で再び存在感を示す動きとなる。
札幌の冷たい風が走る午前、街のネオンが沈んだ色を残す時間帯に、新千歳空港では5年ぶりとなるマニラ直行便の再開が静かに始まった。11月24日、フィリピン航空が札幌〜マニラ線を運航再開した。かつて定期便として運航されていた路線で、今回の復活は冬季限定の4か月間と発表されている。A321を用いた週3便体制で、月曜・水曜・金曜に運航されることが示された。5年間の空白を経ての帰還は、空港の冬景色とともに新たな流れを街へ運び始めている。
背景には、北海道方面へのフィリピン人旅行者の需要が高いことがある。冬のすすきのでは、夜のアスファルトがネオンを反射し、海外観光客が写真を撮る姿が増えている。中島公園へ向かう観光客や、COCONO SUSUKINO周辺を歩く訪問者の姿も目立ち、近年の多様な客層がその動きを後押ししている。フィリピン航空は一時、地上スタッフ不足や燃料調達の課題があり運航再開を見送っていたが、今回の再開で体制を整えたことが明らかになった。航空会社側の計画では、今後も冬季限定で運航を継続する方針が示されている。
空港では、「直行便は移動の負担が少ないので助かる」と話す利用者の姿もあった。すすきのの飲食店街では、冬季の訪日客増加を期待する声も聞かれ、「週末は海外からの予約が増えるかもしれない」と語る店舗関係者もいた。今回の再開により、札幌エリアへ向かう旅程が組みやすくなり、夜景やグルメを楽しむ滞在型の観光にも波及が見込まれている。冬の光に溶ける温度感を求めて訪れる海外客にとって、直行便は選択肢の幅を広げる存在になりつつある。
一方で、この路線は以前までフィリピン航空の独占状態だったが、今年1月にセブパシフィック航空が同区間へ参入し、状況は競争環境へと変化している。価格帯や運航スケジュールの違いが選択基準に影響すると見られ、航空会社間での利便性向上が進む可能性がある。すすきの周辺の宿泊施設でも、海外観光客の動向を注視する動きが続いており、冬季のホテル稼働率に一定の影響を与えると考えられる。競合状況の変化は、札幌の観光経済に広く波及する可能性を含んでいる。
再開初日の空港周辺では、雪明かりの下を歩く旅行者の影がゆっくりと伸びていた。夜のすすきのでは、濡れた舗道に映る光の揺れが冬の訪れを告げ、旅客がそれぞれの目的地へ向かっていく姿があった。直行便の復活は、寒さの深まる季節に温度の異なる国をつなぐ線として、街のリズムにささやかな変化をもたらしているようだった。





