2026年4月1日から、自転車にも交通反則通告制度、いわゆる青切符が適用されました。今回のニュースでまず整理したいのは、「自転車と電動キックボードに同時に新制度が始まった」という理解は正確ではないことです。警察庁によると、新たに青切符の対象になったのは自転車で、一方、一定の要件を満たす電動キックボード等の「特定小型原動機付自転車」は、2023年7月1日の制度施行時から交通反則通告制度の対象とされています。
つまり、今回の制度開始の本丸は「自転車が、これまでの刑事手続中心の扱いから、一定の反則行為については青切符で処理される枠組みに入った」という点です。自転車では16歳以上が対象で、違反を認める場合は、取締りの翌日から原則7日以内に銀行や郵便局の窓口で反則金を仮納付します。納付すれば刑事手続に移行せず、起訴されることもなく、いわゆる前科もつきません。
警察庁が制度導入の理由として挙げているのは、自転車事故の実態です。警察庁によると、2024年中に発生した自転車乗用中の死亡・重傷事故のうち、約4分の3で自転車側にも法令違反がありました。従来は、自転車の違反が検挙されて検察庁に送致されても不起訴となるケースが多く、責任追及が不十分との指摘があったとされています。制度の狙いは、ルール順守を促しつつ、違反処理を簡易で迅速なものにすることです。
ただし、ここは誤解しやすいところです。青切符が始まったからといって、違反を見つけ次第すべて即反則金になるわけではありません。警察庁のリーフレットや取締り方針では、自転車の違反を認知した場合、基本的には現場での指導警告を行い、交通事故の原因になったり、歩行者や他の車両に危険や迷惑を及ぼしたりするような悪質・危険な違反のときに取締りを行う考え方は、制度導入後も変わらないとしています。
では、どんな違反が身近なのか。警察庁公表資料では、携帯電話使用等(保持)が1万2,000円、遮断踏切立入りが7,000円、信号無視が6,000円、指定場所一時不停止等と無灯火が5,000円、二人乗りなどの軽車両乗車積載制限違反が3,000円の例として示されています。逆走や歩道通行などの通行区分違反、横断歩行者等妨害、安全運転義務違反も6,000円の枠です。通勤や通学でつい出やすい「スマホを手に持つ」「止まるべき場所で止まらない」「ライトやブレーキを後回しにする」といった行為が、そのまま反則金につながりうるわけです。
一方で、重大な違反や事故は青切符では終わりません。酒酔い運転・酒気帯び運転、妨害運転、携帯電話使用等で実際に交通の危険を生じさせた場合などは、刑事手続の対象です。実際に事故を起こしたケースも同様で、青切符による簡易処理とは別の扱いになります。三菱UFJ銀行の解説ページでも、自転車の青切符は自動車免許の違反点数制度の対象外だと整理されていますが、それはあくまで反則金納付で終わる範囲の話で、重大違反まで軽くなるわけではありません。
電動キックボードについても、ひとくくりにはできません。免許不要で乗れるのは、一定の基準を満たす「特定小型原動機付自転車」に限られ、16歳未満は運転できません。基準に当てはまらない車両は別区分となり、必要な免許や走行ルールも変わります。今回の記事のポイントは、「自転車が新たに青切符の枠組みに入ったこと」と、「電動キックボードはすでに対象だが、車両区分の確認が前提」という二層構造で理解することです。
全国一律の制度なので、札幌でも事情は同じです。通勤、通学、買い物で日常的に自転車を使う人ほど、いま見直すべきなのは難しい法律用語よりも、信号・一時停止、スマホ、ライト、ブレーキ、逆走の5点でしょう。今回の制度変更は、自転車を「気軽な移動手段」ではなく、ルールと責任を伴う車両として扱う流れが一段進んだと見るのが自然です。
今回の制度変更は、反則金の額だけを見ると「厳しくなった」で終わりがちです。ですが本質は、自転車だけが曖昧な位置に置かれていた違反処理の仕組みが、ようやく整理された点にあります。





