札幌・すすきので執ような客引きの疑い、44歳男を逮捕 道条例と札幌市の規制を整理


札幌・すすきので、執ように客引きをした疑いで44歳の男が逮捕されました。北海道警察の「9月24日の出来事」によると、札幌方面中央警察署は2026年9月24日、同年8月に札幌市中央区内の路上で執ように客引きをしたとして、自称無職の男(44)を北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕しました。

STV札幌テレビの報道では、容疑の対象となったのは8月28日午前0時ごろ、札幌市中央区南5条西4丁目の歩道上での行為です。男は客引きの取り締まり中だった私服の男性警察官に声をかけ、1分から2分にわたり、つきまといながら勧誘した疑いが持たれています。警察の調べに対し、男は「覚えていません」と容疑を否認していると報じられています。

今回の逮捕は、有罪が確定したことを意味しません。警察は共犯者の有無や余罪についても調べていると報じられており、2026年9月29日の確認時点で、今回確認した公表資料には起訴や裁判結果など、その後の処分を示す情報はありません。

道警の公式発表では「執ように客引き」と記載

北海道警察が公開している2026年9月24日の「事件・事故情報」には、「迷惑防止条例違反被疑者の逮捕(中央署)」として本件が掲載されています。道警の記載は、中央署が24日、2026年8月に札幌市中央区内の路上で執ように客引きをした自称無職の男(44)を北海道迷惑行為防止条例違反で逮捕した、という内容です。

道警の公式情報だけでは、発生日の具体的な日時や南5条西4丁目という場所、声かけの内容、客引きが続いた時間までは示されていません。これらの詳細は、中央警察署への取材内容を報じたSTVで確認できます。報道では、8月28日午前0時ごろ、男が私服の男性警察官に対し、案内の利用を勧める趣旨の言葉などをかけ、1分から2分にわたってつきまといながら勧誘した疑いがあるとされています。

警察官は当時、客引きの取り締まり中だったと報じられています。一方で、男は「覚えていません」と述べ、容疑を否認しているとされています。したがって、現時点で確認できるのは「警察がそのような容疑で逮捕した」という事実と、報道を通じて伝えられた捜査内容です。容疑そのものが裁判などで確定した事実として扱うべき段階ではありません。

今回の逮捕容疑は札幌市条例ではなく「北海道迷惑行為防止条例」

すすきのでは客引き対策として、北海道の条例と札幌市の条例の両方が関係します。ただし、今回の逮捕容疑として道警が公表しているのは「北海道迷惑行為防止条例違反」です。札幌市の「札幌市客引き行為等の防止に関する条例」に違反したとして逮捕された、という発表ではありません。

北海道警察が公開している北海道迷惑行為防止条例の第9条は、「不当な客引き行為等の禁止」を定めています。第9条第1項では、公共の場所で不特定の人に対して行う一定の客引き行為を禁止し、第4号では、人の身体や衣服をとらえる、所持品を取り上げる、立ちふさがる、つきまとうなどして執ように客引きをする行為を禁止しています。

今回の道警発表は「執ように客引き」としており、STVも「つきまといながら」1分から2分にわたり勧誘した疑いと報じています。ただし、どの具体的行為をもって条例第9条第1項のどの部分を適用したのかについて、今回確認した道警の公表文には細かな説明はありません。そのため、条文の内容と報道された容疑事実は分けて捉える必要があります。

同条例第11条では、第9条第1項などに違反した場合について、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を定めています。これは条例に定められた法定刑の説明であり、今回逮捕された男にこの刑が科されると決まったという意味ではありません。実際の処分は、今後の捜査や刑事手続きによります。

また、北海道迷惑行為防止条例第9条第1項の「つきまとう等執ように客引きをすること」という規定は、札幌市が独自に設定している客引き禁止区域だけを対象にした規定ではありません。条例は「公共の場所」を対象として規定しています。札幌市条例の区域指定とは別の仕組みです。

札幌市にも客引き行為等を規制する独自条例がある

北海道の条例とは別に、札幌市は「札幌市客引き行為等の防止に関する条例」を設けています。札幌市によると、条例は2022年7月1日に全面施行されました。市民や観光客などが公共の場所を安全に安心して通行・利用できる環境を確保することを目的としています。

札幌市条例でいう「客引き行為等」は、客引き行為だけではありません。客引き行為、客待ち行為、勧誘行為、勧誘待ち行為の4つをまとめた言葉です。市は「客引き行為」を、通行人など不特定の人の中から相手を特定し、客になるよう誘う行為と定義しています。

条例第6条では、何人も禁止区域で客引き行為等を行ったり、行わせたりしてはならないとしています。また、事業者に対しても、禁止区域で客引きを受けた人を客として店内に立ち入らせることや、禁止区域で勧誘を受けた人を事業者の施設で働かせることを禁じています。

この市条例は、違反が確認された場合に直ちに今回と同じ形で逮捕する仕組みではありません。札幌市の案内では、禁止行為をした人に対し、指導、勧告、命令を段階的に行い、命令に違反した場合には5万円以下の過料を科すとともに、氏名や住所などを公表できるとしています。

実際に札幌市の公式ページには、市条例に基づく氏名等の公表状況も掲載されています。ただし、それらは今回逮捕された44歳の男についての情報ではありません。別の事案と混同しないよう注意が必要です。

北海道迷惑行為防止条例による刑事上の規制と、札幌市条例による市独自の規制は、根拠となる条例も手続きも異なります。「すすきので客引きをすると市条例で逮捕される」と単純化すると、今回の逮捕事実とはずれてしまいます。

札幌市条例の禁止区域は札幌駅周辺からすすきのまで広い

札幌市が2026年9月29日時点で案内している禁止区域は、市道北8条線、市道西7丁目線、市道南7条線、創成川通で囲まれた区域内の公共の場所です。道路や公園などが対象で、範囲には札幌駅周辺、大通、狸小路、すすきのなど札幌中心部の広い地域が含まれます。

今回の容疑場所として報じられた南5条西4丁目の歩道は、この禁止区域の範囲内に位置します。ただし、ここでも「禁止区域内だから札幌市条例違反で逮捕された」と読み替えてはいけません。道警の公式発表で示されている逮捕容疑は、あくまで北海道迷惑行為防止条例違反です。今回の事案について札幌市が市条例に基づいて指導や命令を行ったという情報は、今回確認した資料にはありません。

札幌市は、禁止区域のうち事業者が所有・管理する施設などについては、原則として自動的に禁止区域には定めず、事業者からの要請があり、その施設が不特定かつ多数の人が通行・利用できる場所で、新たに禁止区域とする必要があると認められる場合に告示で定めるとしています。

そのため、札幌中心部にある場所なら、建物内を含めてどこでも一律に同じ市条例上の禁止区域になるという整理ではありません。道路などの公共空間と民間事業者が管理する場所では、区域指定の考え方が異なります。

南3条線以南は「自店舗前1メートル以内」の例外もない

札幌市条例の規制を確認するときに、すすきの利用者にとって特に関係するのが南3条線以南の扱いです。市は、禁止区域内でも一定の条件を満たす自店舗前1メートル以内の客引き行為等について、規制対象から除かれる場合があると説明しています。

ただし、南3条線以南にはこの例外がありません。札幌市の公式ページは、南3条線以南では自店舗前1メートル以内であっても客引き行為等を禁止すると明記しています。今回の容疑場所とされる南5条西4丁目は、この南3条線以南の区域です。

さらに、南3条線より北側であっても、拒絶の意思を示した人への客引き・勧誘、通行人の進路に立ちふさがる、追随するなど通行を妨げる方法による行為、階段での客引き行為等については、自店舗前1メートル以内の例外は適用されません。

そのため、札幌市中心部で見かける客引きについて「店の前なら一律に認められている」と理解するのは正確ではありません。区域と行為の内容によって扱いが異なり、特に南3条線以南では自店舗前の例外自体が設けられていません。

道条例と市条例は「どちらか一方」ではない

すすきのを歩く利用者からすると、どちらも同じ客引きへの規制に見えます。しかし、北海道迷惑行為防止条例と札幌市条例は対象や仕組みが異なります。

北海道迷惑行為防止条例第9条第1項は、公共の場所での一定の不当な客引き行為を禁止し、つきまとうなどして執ように客引きをする行為も対象にしています。違反した場合には刑事罰の規定があります。

一方、札幌市条例は、指定された禁止区域内で客引き、客待ち、勧誘、勧誘待ちを幅広く規制し、市の指導、勧告、命令、過料、公表という仕組みを設けています。

したがって、「市の禁止区域外ならどのような客引きをしても問題ない」ということにはなりません。北海道迷惑行為防止条例など、別の法令や条例に該当する可能性は別に判断されます。

逆に、札幌市条例の禁止区域内で声をかける行為があったからといって、そのすべてが今回と同じ北海道迷惑行為防止条例違反として逮捕されるとも限りません。個別の行為がどの規定に該当するかは、具体的な状況に応じて判断されます。

客引きにつきまとわれた場合の相談先

すすきので客引きから声をかけられ、断ってもつきまとわれる、進路をふさがれる、身の危険を感じるなど、警察官の臨場が必要な状況では110番が案内されています。北海道警察は、110番を緊急の事件・事故を警察に通報するための緊急電話と位置付けています。

緊急性はないものの、犯罪被害の未然防止や生活上の安全について警察に相談したい場合は、警察相談専用電話「#9110」があります。北海道警察によると、#9110は毎日24時間、電話を受け付けています。ダイヤル回線や一部のIP電話からは利用できず、北海道警察本部警察相談センターの直通番号として011-241-9110も案内されています。

札幌市の客引き行為等防止条例の禁止区域や制度について確認したい場合は、札幌市市民文化局地域振興部区政課が担当窓口です。市の公式ページには、禁止区域、例外、指導等の仕組み、問い合わせ先が掲載されています。

  • 緊急の事件・事故:110番
  • 緊急ではない警察相談:#9110(北海道警察本部警察相談センター、毎日24時間受付)
  • 札幌市の客引き防止条例:札幌市市民文化局地域振興部区政課 011-211-2252

9月29日時点では容疑を否認、捜査が続いている

今回の事件について、北海道警察が公式に確認しているのは、中央署が9月24日、8月に札幌市中央区内の路上で執ように客引きをした疑いで44歳の男を逮捕したという点です。STVの報道で、8月28日午前0時ごろ、南5条西4丁目の歩道上での行為とされていること、客引き取り締まり中の私服警察官につきまといながら勧誘した疑いがあること、男が容疑を否認していることが分かります。

警察が共犯者の有無や余罪を調べているとの報道もありますが、これは捜査中であることを示す情報です。共犯者や別の違反行為が存在すると確定したものではありません。

すすきのでは北海道迷惑行為防止条例だけでなく、札幌市独自の客引き防止条例も運用されています。今回の事件をきっかけに制度を確認する場合は、「逮捕の根拠になった道条例」と「札幌中心部の禁止区域を定めた市条例」を分けて見ると整理しやすくなります。

利用者自身が条例の適用を判断する必要はありません。客引きにつきまとわれたり、危険を感じたりした場合は、その場でやり取りを続けるよりも安全を確保し、状況に応じて110番や#9110を利用できます。

道警の条例原文では、第9条第1項第4号に「つきまとう等執ように客引きをすること」が規定され、第11条で第9条第1項違反について「6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」とされています。
札幌市条例は、禁止区域、南3条線以南の扱い、指導・勧告・命令・過料の仕組みを別に定めています。


今回の逮捕場所として報じられた南5条西4丁目は、札幌市が客引き行為等を禁止している中心部の区域にも含まれます。ただし、今回の逮捕容疑は札幌市条例ではなく北海道迷惑行為防止条例違反です。すすきのの客引き対策を確認するときは、道条例による刑事上の規制と、市条例による禁止区域・指導等の仕組みを混同しないことが重要です。