【すすきの】ニッカの看板はどう変わった? 13年ぶり5代目の変更点と理由


札幌・すすきの交差点にあるニッカウヰスキーの看板が、2026年4月上旬に13年ぶりに更新され、5代目になりました。すすきのの象徴的な看板が新しくなりました。まず押さえたいのは、今回の変更が「まったく別の顔への交代」ではないことです。長年親しまれてきた、いわゆる「ニッカおじさん」の存在感は残したまま、見え方と印象が調整された刷新でした。

では、どこが変わったのか。いちばん分かりやすいのは、4代目の特徴だったステンドグラス調の表現が薄れ、5代目ではその継ぎ目の線がなくなったことです。ステンドガラス風の継ぎ目が無くなったことにより「やわらかい」「親しみやすい」「すっきりした」印象になっています。つまり、ひげや顔立ちのモチーフ自体を大きく変えたのではなく、重厚感の強かった見た目を、より見やすく軽やかな方向へ寄せたのが今回のポイントです。

この変化には、はっきりした理由があります。背景の一つは、ブラックニッカブランド誕生70周年です。アサヒビールの2026年2月の発表では、ブランドロゴの「BLACK」を親しみやすいゴシック体に変え、パッケージ全体もすっきりした外観に改める方針が示されました。看板の刷新も、そのブランド全体の見せ方の変更と歩調を合わせたものと見てよさそうです。

もう一つ重要なのは、「なぜ、もっと親しみやすい方向に寄せたのか」という点です。従来のステンドグラス調のデザインには、見る人に「味が重そう」「飲みにくそう」という印象を与えかねない面があり、その誤解をほどくために、よりクリアな見た目に寄せたとされています。言い換えれば、今回の変更は単なる外装工事ではなく、ブラックニッカという商品のイメージを現代向けに言い直す作業でもありました。看板だけが突然変わったのではなく、商品パッケージ、ロゴ、訴求メッセージと一体で見たほうが実態に近いです。

この話題が地元ニュースとして強いのは、看板そのものが、すすきのの街の記憶に深く入り込んでいるからです。初代の設置は1969年で、その後は1986年、2002年、2013年と節目ごとに姿を変えてきました。3月下旬に白いシートで覆われた際には、「すすきのの顔が変わります。(ちょっとだけ)」という告知も話題になり、観光客が「撮れなくて残念」と話す様子も報じられました。単なる企業広告ならここまで反応は広がりません。待ち合わせ場所として、写真スポットとして、そして“札幌に来た”と実感する目印として、あの看板が機能しているからこそ、小さな変化でもニュースになるわけです。

しかも今回は、「大きく変えすぎなかった」こと自体に意味があります。SASARUに掲載された担当者コメントでは、看板の人物そのものを別人にするのではなく、より親しみやすく、すっきりした印象へ“お色直し”する考え方が示されていました。(参考:SASARU “ススキノの顔”「ニッカおじさん」リニューアル!

長く街の顔として定着したものは、刷新しすぎると連続性が切れてしまいます。一方で、古いままでは今のブランド戦略と合わなくなる。その間を取るように、象徴性は残しながら印象だけを更新した点に、今回のリニューアルのうまさがあります。

まとめると、すすきの交差点のニッカの看板は、4代目のステンドグラス調から、5代目では絵画調でやわらかく、すっきり見えるデザインへ変わりました。そして変わった理由は、ブラックニッカ70周年とブランド全体のデザイン刷新、さらにウイスキーの印象を和らげる狙いにあります。変わったのは「ひげのおじさん」そのものではなく、すすきのの象徴を今の時代に合わせてどう見せるか、その表現方法だったと言えそうです。


今回の看板刷新は、見た目の小変更に見えて、実際にはブランドの伝え方を見直した動きです。すすきのの象徴を残しながら印象だけを変える判断に、この案件の難しさと丁寧さが出ています。