【札幌駅】地下鉄ホーム増設工事が難航、2028年度の利用開始は困難に


札幌市営地下鉄南北線「さっぽろ駅」で進むホーム増設事業に遅れが生じています。札幌市交通局は報道機関の取材に対し、当初目指していた2028年度中の新ホーム利用開始は難しいとの見方を示しました。2026年10月24日時点で、新しい利用開始日は明らかになっていません。

遅れの要因として伝えられているのは、古い図面からは分からなかった地下の埋設管や、想定より厚いコンクリートです。工事自体は続いており、札幌駅前通の一部では歩道と車道の通行止めも実施されています。駅の改良計画がどう変わるのか、通勤・通学や札幌駅周辺の移動に現在どのような影響があるのかを確認しました。

新ホームの2028年度中の利用開始は難しい見通し

今回の対象は、JR札幌駅の在来線ホームではなく、札幌市交通局が管理する地下鉄南北線「さっぽろ駅」です。事業の正式名称は「南北線さっぽろ駅ホーム増設事業」。既存のホームの東側に新しいホームを設け、両方向の利用客が同じ場所に集まる構造を変える計画です。

2026年10月13日、UHB北海道文化放送は、ホーム増設工事が難航し、当初予定した2028年度からの新ホーム利用開始について見通しが立たなくなったと報じました。翌14日にはHTB北海道テレビ放送が、札幌市交通局の説明として2028年度中の利用開始は難しいと伝えています。STV札幌テレビ放送も同月14日、工事現場を取材し、2028年度末を目指していた供用開始が遅れる見通しを報じました。

これらは、それぞれの報道機関が札幌市や工事現場を取材した内容です。一方、札幌市交通局の事業紹介ページは9月18日更新の情報で、10月に報じられた工期の遅れや、延期後の利用開始日を詳しく説明する内容にはなっていません。新しい日程が市の公式資料で示されたと受け取らないよう注意が必要です。

「2028年度」とは2028年4月から2029年3月までを指します。2028年の年末で完成するという意味ではありません。また、利用開始の見通しと、工事契約書に記載される工事期間は別の情報です。

なぜ工事が遅れたのか 図面にない埋設物と厚いコンクリート

工事の難航が報じられたのは、地下にある設備や構造物が当初の想定と異なっていたためです。UHBの10月13日の報道では、札幌西武跡地の地下出入口付近で解体作業を進めたところ、天井などのコンクリートが想定の2倍以上の厚さだったとしています。古い図面と現場の状態が一致しないことが、作業に影響しているという説明です。

HTBは10月14日、図面に記載されていなかった埋設管や、設計図の2倍以上の厚さがある天井部分が見つかったと報じました。地下の埋設管とは、水道管など地中に設置されている設備を指します。存在や位置を正確に把握できないまま作業を進めるわけにはいかず、現場での確認や施工手順の調整が必要になります。

STVは10月14日、現場を取材し、札幌市交通局の担当者による説明を紹介しています。担当者は、コンコース側でコンクリートの解体や地下の掘削に、予定より時間がかかった旨を述べています。報道で具体的に確認できる遅延要因は、こうした解体・掘削上の想定外の条件です。

ただし、埋設管が何本見つかったのか、どの工程が何か月遅れたのか、各問題が全体工期にどれだけ影響したのかについて、確認した資料から確定的な数字を示すことはできません。工事の管理体制や設計に法令上の問題があったとする発表も確認していません。原因を「古い図面があった」という事実以上に広げ、誰かの過失や工事全体の安全性に結び付けることは適切ではありません。

改良が必要な理由は、ホームとJRへの階段の混雑

南北線さっぽろ駅の既存ホームは、麻生方面と真駒内方面の線路に挟まれた「島式ホーム」です。いまは両方向の列車を利用する人が同じホームを使います。特に北側、JR札幌駅方面に向かう階段の周辺に人が集まりやすいことが、札幌市交通局が示す長年の課題です。

工事施工者の公式サイトによると、2018年度の南北線さっぽろ駅の1日平均乗車人員は約5万7,000人でした。STVの2026年10月14日の取材では、前年度の利用者数として1日約5万3,000人を紹介しています。数字が異なるのは参照年度などが異なるためで、同じ年の値として比較したり、増減の理由を決め付けたりすることはできません。

さらに同報道では、札幌駅周辺の再開発後、利用者数が1日約8万2,000人に増える可能性があると紹介されました。この数字は、将来の需要見通しです。北海道新幹線の札幌延伸や駅周辺の再開発も、札幌市がホーム改良の背景に挙げている事業です。ただし、新幹線と地下鉄の工事は別事業であり、それぞれの工程を混同することはできません。

今回の整備は、単純にホームを広げるだけではありません。列車から降りた人がJR方面や地上へ移動するとき、特定の階段に集中しにくくすることも目的です。現状の島式ホームでは北側階段にエスカレーターを追加する空間の確保が難しいと、施工者の公式説明には記載されています。この制約を踏まえ、ホームの配置から見直す計画が選ばれています。

完成すると何が変わる? 方面別ホームと再開発ビルへの接続

現在のホームは麻生方面専用、新ホームは真駒内方面専用に

札幌市交通局の公式計画では、真駒内方面の線路の東側に新ホームを増設し、現在のホームを麻生方面専用とします。つまり完成後は、同じホームに両方向の利用客が集まる状態から、利用する列車の方向ごとに乗る場所を分ける構造へと変わります。

工事施工者は、この変更によってホーム上の滞留を減らし、歩行や乗降を円滑にする効果を見込んでいます。列車の乗降にかかる時間を短縮し、遅延時間の縮小につなげることも計画上の狙いです。ただし、実際に何分短縮できるか、混雑率がどこまで下がるかについて、完成後の実績が出ているわけではありません。

新ホームが完成するまでは、乗車方向ごとに別のホームへ移動する運用は始まっていません。工事中に一部の壁が取り払われていても、それは利用者が新ホームを使えるようになったことを意味しません。利用開始時には、方面別の案内や改札口の位置を改めて確認する必要があります。

北4西3地区の再開発建物とつながる計画

もう一つの大きな変更は、地下鉄の駅と再開発建物を直接つなぐ動線の新設です。札幌駅南口側の「北4西3地区」の再開発建物について、施工者は地下1階のコンコースと地下2階のホームで接続する計画を説明しています。新しい改札口も真駒内方面ホーム側に設ける予定です。

札幌市交通局は、コンコースの拡幅、エスカレーターの新設、複数の移動経路の確保を整備内容として挙げています。施工者の説明では、再開発建物と一体的にホームから地上までのエレベーターを整備し、新ホームにもエスカレーターを設ける計画です。ホーム増設による混雑緩和の後には、麻生方面ホームの北側階段へのエスカレーター整備も予定されています。

こうした設備が完成すれば、階段の利用が難しい人や大きな荷物を持つ利用者にとって、選べる移動経路が増える可能性があります。ただし、各設備の具体的な供用開始日や、再開発建物との接続部分を先行して利用できるかどうかは、今回確認した情報からは決められません。施設間の接続計画と、個々の設備の開放日を分けて見る必要があります。

公式サイトの工事期間はいつまで? 「開業日」との違い

札幌市交通局の事業紹介ページには、主な工事として「南北線さっぽろ駅ホーム増設土木工事」と「南北線さっぽろ駅ホーム増設営繕工事」が掲載されています。前者は伊藤・岩田地崎・岩倉特定共同企業体が受注し、記載上の工事期間は2024年1月15日から2028年3月30日まで。後者は伊藤・岩田地崎・田中・北海電工特定建設工事共同企業体が受注し、2026年9月10日から2030年3月12日までとなっています。

工事の開始時期については、UHBが「2024年4月から工事」と報じています。公式ページの2024年1月15日という日付は土木工事の契約上の期間の始まりであり、現場で具体的な作業が始まった時点を示す報道とは対象が異なります。この2つを矛盾する日付として扱う必要はありません。

また、営繕工事の期間が2030年3月までと書かれていることだけで、新ホームの利用開始が2030年3月になると判断することもできません。工事の種類や引き渡しの対象範囲によって、工事契約の終了と施設の部分的な使用開始が一致しないことがあるためです。札幌市自身も、掲載している工事期間は関連工事や進捗状況によって変更する可能性があると注記しています。

今回の遅れを知るうえで重要なのは、契約の終期から新しい開業日を推定することではなく、札幌市交通局が利用開始時期を改めて発表するかどうかです。現時点で公表された契約期間と、10月の報道で示された2028年度中の供用困難という見通しは、それぞれの意味を分けて確認する必要があります。

現在の通行規制 札幌駅前通と北5条手稲通の歩道に注意

新ホームの利用開始が先送りになる見通しでも、地上の交通規制が自動的に延長されたわけではありません。ただし、2026年10月24日時点で、工事に伴う道路や歩道の通行止めはすでに実施されています。車で札幌駅南口周辺を通る人だけでなく、JR札幌駅から地下鉄へ徒歩で移動する人も、通れる経路を確認しておきたいところです。

施工者の公式案内では、札幌駅前通の「北5条線から北4条線まで」の南進方向で、2026年4月1日から2028年7月ごろまで、歩道と車道を終日通行止めとする予定です。北進方向はこの規制の対象外とされています。南進とはJR札幌駅側から大通方面へ向かう方向です。駅前通全体が通行止めになっているわけではありません。

また、2026年8月25日付の施工者案内では、9月1日から2028年7月ごろまで、北5条手稲通の西4丁目から西3丁目の間にある南側歩道も終日通行止めとされています。駅周辺では地下通路だけでなく、地上の道路・歩道でも通行できる区間が変わっているため、目的地に近い出口を使う予定の人は規制図の確認が必要です。

札幌市交通局は、駅構内でも工事により通路幅が狭くなっていると案内しています。とくに朝夕の乗り換え時間には、通常の通行経路を前提にせず、現地の誘導表示に従って移動してください。工事による駅構内の通行条件と地上の車両規制は、別々の情報として確認することが大切です。

通行規制の位置と時期は、札幌市が公開する札幌駅周辺 工事交通規制情報ポータルで確認できます。画面上の規制図では、表示月や時間帯を切り替えて確認できる案内があり、ホーム増設以外の工事による規制も掲載されています。地下鉄工事の詳細については南北線さっぽろ駅ホーム増設土木工事の交通規制ページを参照してください。

UHBの10月13日の報道では、工事の遅れに伴って地上の道路規制を延長するかは未定とされています。したがって、現行案内の「2028年7月ごろ」を確定的な解除日とすることも、逆に「新ホームの遅延に合わせて規制も必ず延びる」と決め付けることもできません。道路を利用する直前には、更新された規制図を見るのが確実です。

事業費110億円から増える見通し 追加額は未公表

工事の難航は費用の面にも影響すると報じられています。UHBは10月13日、事業費が当初の110億円から増える見通しと伝えました。札幌市交通局の2024年度予算資料でも、南北線さっぽろ駅改良事業の総事業費は110億円と記載されており、この額は当初計画の規模を示すものです。

ただし、2026年10月24日時点で、最終的な増額後の総事業費や追加で必要となる金額が確定したと示す資料は確認できていません。単純に「110億円を超えた費用が確定した」と書くのではなく、増額の見通しが報じられている段階として扱う必要があります。

なお、札幌市交通局は2026年度の高速電車事業会計予算案で、この駅の改良事業を主要な建設改良事業の一つに挙げています。同会計には車両基地、耐震、エスカレーターなど他の事業も含まれるため、地下鉄事業全体の建設改良費を今回のホーム増設工事単独の予算と読み替えてはいけません。

利用者にとって重要なのは、費用が増えるというニュースだけでなく、増額の規模や負担の説明、変更後の工程が今後どこまで具体的に示されるかという点です。現段階で、今回の工事遅延を理由とする地下鉄運賃の改定が決定したという情報は確認していません。工事費の増加と運賃の変化を直接結び付ける根拠もありません。

通勤・観光で利用する人は、何を確認すればよい?

まず、地下鉄南北線を日常的に利用する人にとって、今回の発表は新ホームの完成時期に関するニュースです。工事が難航していることと、既存の南北線さっぽろ駅が使えなくなることは同じではありません。駅の乗降や列車の運行に変更が生じる場合は、その都度、札幌市交通局の駅構内・運行情報で確認してください。

麻生方面、真駒内方面のどちらへ向かう人も、現時点では駅構内の案内に従って既存ホームを利用することになります。新ホームの工事区域や仮囲いが見えても、通れる通路と工事用の区域を区別してください。JR札幌駅との乗り換えを予定している場合は、北側の通路や階段付近の混雑と通路幅の制限があることを念頭に置く必要があります。

一方、札幌駅南口周辺の店舗、オフィス、ホテルへ向かう人は、地下鉄のホームではなく地上の迂回経路が関係する場合があります。駅前通を南へ走る車両と、北5条手稲通の南側歩道を利用する歩行者では、影響を受ける区間が異なります。工事情報を一括して「札幌駅周辺が通行止め」と理解すると、別の方向の通行までできないと誤解しかねません。

地下鉄南北線さっぽろ駅の位置はGoogleマップで確認できます。ただし、地図上で駅の位置を見られることと、工事期間中の出入口・歩道の開閉状況を確認できることは別です。迂回経路の判断には、市の工事交通規制図と現地の案内を優先してください。

今後の焦点は「新しい供用開始日」と「規制期間の見直し」

2026年10月24日までに確認できた情報をまとめると、工事で想定外の地下設備や厚いコンクリートが見つかり、2028年度中に新ホームを利用できるようにする当初の計画は難しくなっています。一方、新しい利用開始日、最終的な増額規模、周辺道路の通行規制を延長するかどうかについては、確定した内容が示されていません。

今後の発表で区別したいのは、土木工事や営繕工事それぞれの予定、一般利用者が新ホームに入れる日、再開発建物との接続部分が使える日です。いずれも関連する工事ですが、同じ日に一斉に使えるとまでは説明されていません。駅を日常的に利用する人に直接関係するのは、そのうちどの出入口と通路がいつ利用可能になるかです。

事業の公式な進捗は札幌市交通局「南北線さっぽろ駅ホーム増設事業について」で確認できます。道路規制は市の工事交通規制情報ポータルと施工者の案内が確認先です。2026年11月1日の公開に先立ち、交通局が10月24日以降に新しい工期や利用開始時期を発表していないかを改めて確認する必要があります。


今回の遅延は、日常的に南北線を使う市民だけでなく、すすきの方面から札幌駅へ向かう人にも関係するニュースです。新ホームの完成予定だけでなく、工事中の通路の狭さや地上の通行止めも、現在の移動に直接影響する情報として確認しておく必要があります。