【札幌】灯油価格が高騰、原因は?家庭・店舗の暖房費節約と国の対策


札幌市の灯油価格が、冬の本格的な需要期を前に上昇しています。市が2026年10月9日に調べた多量配達の平均価格は1リットル159.35円で、前回調査より11.72円高くなりました。北海道は10月16日、価格高騰と流通上の問題を受け、国に安定供給と負担軽減を求めています。

今回の値上がりは、家庭が使う灯油の購入費だけの問題ではありません。冬季に暖房を必要とする札幌の飲食店や事業所にとっても、燃料の調達と毎月の運営費に関わる動きです。一方、国は供給そのものが全国規模で不足しているとの見方は示しておらず、地域や取引経路ごとの供給の偏りへの対策を進めています。

価格の数字を正しく読み、実際の使用量から負担を計算すること。そして、暖かさや安全を削らずに使う灯油を減らすことが、今冬の備えになります。

札幌の配達灯油は159.35円/L 10月調査で値上がり

札幌市の「石油製品小売価格調査」は、市内のガソリンスタンドや燃料店100店舗を対象に、電話で小売価格を聞き取るものです。原則として毎月10日に調査し、灯油の多量配達価格などを公表しています。10月分の実際の調査日は9日でした。

公表された多量配達の平均は1リットル159.35円。前回との差額11.72円を差し引くと、前回の水準は147.63円です。札幌市の調査結果から、少なくとも9月から10月にかけて値上がりしたことを確認できます。

ここでいう159.35円は市内調査対象店の平均で、全店舗の統一価格ではありません。自宅の契約単価やその日の給油所の店頭価格と同じとは限りません。注文方法や配達条件によっても請求額が変わるため、実際の支払額は取引先から届く価格通知や伝票で確かめる必要があります。

道内全体でも上昇が報じられています。HTB北海道ニュースは10月21日、資源エネルギー庁の19日調査に基づき、北海道の配達灯油が1リットル158.8円になったと伝えました。こちらは北海道全体・10月19日時点の数字です。札幌市の9日調査とは対象地域も日付も異なるため、単純に引き算して「札幌では値下がりした」と判断することはできません。

購入量に置き換えると、負担はいくら増える?

札幌市の前回比11.72円を使い、同じ量を買った場合の差額を試算します。100リットルなら1,172円、200リットルなら2,344円、400リットルなら4,688円の増加です。これは1リットル当たりの値上がり幅に数量を掛けた単純計算であり、実際の家庭や店舗の購入量を示した数字ではありません。

たとえば100リットル購入した場合、10月の平均単価なら15,935円です。前回調査の水準147.63円なら14,763円となり、差は1,172円になります。配達の有無や契約条件を固定した比較ではないため、請求額の予測に使う際は自身の契約価格に置き換えてください。

販売事業者が示す価格も参考になります。エネコープ公式サイトが公表している札幌市の定期配送価格は、2026年10月1日時点で1リットル159円(税込)です。ただし、電話注文では定期配送価格より10円高くなると案内されています。これは同社の条件であり、他社に共通する仕組みではありません。購入方法まで確認して初めて、価格を正しく比べられます。

灯油はなぜ高騰した? 国際価格と北海道の流通問題

値上がりの背景には、国際的な石油製品価格の上昇に加えて、北海道に灯油を届ける流通経路の問題があります。両者を分けて見ることが重要です。

中東情勢の影響で輸入灯油の調達が難しく

中東情勢の悪化を背景に、輸入灯油の価格が高くなっています。道が10月16日に国へ提出した要望では、輸入灯油について、価格面などから調達が困難になっているとの声があると明記されています。価格が上がっても十分な量を仕入れられるとは限らず、販売する側にとっては仕入れ値と調達量の両方が問題になっています。

ただし、店頭の単価が上がった理由をすべて原油価格だけに帰することはできません。輸入品の値付け、国内精製品の供給、商社や卸売りを通る取引条件は別々の要素です。家庭に届く灯油の最終価格には、販売店ごとの契約や配送の事情も関わります。

「全国に灯油がない」と「道内の店に届きにくい」は別の話

北海道の要望書によると、道内の一部小売事業者では、元売りや商社からの仕入れが難しい、必要量を確保できないといった声が上がっています。道は流通経路の「目詰まり」の把握と解消、地域ごとの供給量の確保、灯油配達網の維持に向けた支援を国に求めました。

一方、北海道が紹介する国の説明は、日本全体として必要な灯油などの量は確保されている、というものです。これは個々の販売店で一時的な仕入れ難が起きていないという意味ではありません。全国の確保量と、ある地域の事業者が希望した量を希望の時期に仕入れられるかは、別に判断する必要があります。

道内の生協関係者も10月に緊急要請を実施。北海道生活協同組合連合会は10月23日の報告で、供給不安が和らぐ兆しがあるとの事業者からの情報を紹介する一方、価格抑制が市場価格に反映されたことはまだ確認できていないとしています。発表された対策が直ちに全家庭の請求を引き下げると受け止めるのは早計です。

政府の対策は始まった? 補助金と安定供給策の違い

国は2026年3月19日から、中東情勢を踏まえた「緊急的激変緩和措置」で灯油を含む燃料油を支援しています。資源エネルギー庁の制度案内では、10月22日以降の灯油・重油の支給単価は42.8円/Lと掲載されています。

注意したいのは、この42.8円が消費者のレシートから直接差し引かれる割引額ではないことです。制度では石油元売りなどに卸価格引き下げの原資を支給し、流通を通じて小売価格を抑えることを目指します。制度の公式案内も、補助の受け手と価格抑制の仕組みを区別して説明しています。

これとは別に、10月16日に発表された灯油の流通円滑化対策があります。北海道生活協同組合連合会の10月23日付報告では、前年同月と同程度の販売・注文を事業者に要請すること、流通が滞った際に元売りから直接販売する仕組みを設けること、割高な輸入灯油と国内卸価格との差を補助することが示されています。

このうち輸入灯油への調整は、2026年11月から2027年3月までの予定として説明されています。10月24日の確認時点では、これらの仕組みによって札幌の店頭価格がいつ、いくら下がるかを示す確定値はありません。既存の燃料油補助と、今回の輸入・流通対策をひとつの「購入者への補助金」として合算しないよう注意が必要です。

家庭でできる灯油代の節約 まずは室温と熱の逃げ道

購入価格は個人では変えにくくても、使う量には見直せる余地があります。大切なのは、室内を寒くし続けることではなく、必要な暖かさを保ちながら、無駄な燃焼や熱損失を減らすことです。

室温20℃は目安。体調や部屋の状態を優先する

北海道の省エネガイドは、暖房時の室温を20℃以下にする工夫や、不要な暖房のつけっぱなしを控える方法を案内しています。試算では、室温の見直しにより年間約42リットル、暖房を1日1時間控えることで年間約16リットルの灯油使用を抑えられるとしています。これは一定条件に基づく行政の試算で、どの家庭でも必ず同じ量が減るという実測結果ではありません。

札幌市の省エネ情報も室温20℃を目安としながら、体感温度には個人差があり、無理に室温を下げるものではないと説明しています。高齢者、乳幼児、体調に不安がある人がいる部屋では、寒さを我慢させないことが優先です。温度計を使い、暖房機器の設定表示ではなく実際の室温を確かめて調節すると判断しやすくなります。

窓・カーテン・空気の循環を見直す

窓から逃げる熱を抑えることも有効です。札幌市の省エネ情報では、日が差す時間帯にカーテンを開けて太陽光を取り入れ、寒くなる時間帯には厚手のカーテンや窓の断熱対策を活用する方法が示されています。古い窓や隙間風のある部屋では、内窓の追加なども選択肢になります。

暖かい空気が天井付近にたまる場合には、機器の安全条件を守ったうえで空気を循環させる方法があります。また、加湿の工夫は体感温度に関わりますが、加湿しすぎると結露やカビの原因になるため、室温と湿度を一緒に確認することが大切です。

一方、換気を止めて灯油を節約するのは避けてください。開放型の石油暖房機は、製品の説明書に沿った換気が必要です。住宅の常時換気設備も、光熱費だけを理由に停止しないでください。暖房効率の改善と安全に必要な換気は両立させるものです。

給油の前に、機器の状態も確認

省エネを考える際は、石油ファンヒーターのフィルターのほこりや、機器の異常も点検したいところです。目詰まりを放置すると、設計どおりの運転ができないおそれがあります。清掃方法は機種によって異なるため、取扱説明書に従ってください。

製品評価技術基盤機構(NITE)は、給油口の締め付け不良、ガソリンの誤給油、衣類など可燃物の接触を事故につながる行為として注意喚起しています。燃焼中の給油を避け、給油後のふたと漏れを確認し、灯油とガソリンを明確に分けて保管しましょう。節約のために安全装置を解除する、指定外の燃料を使うといった行為は厳禁です。

すすきのの飲食店・事業所では、暖房の使用量と契約を点検

すすきの周辺では、営業時間が長い飲食店や、来店客の出入りが多い施設もあります。ただし、すべての店舗が灯油暖房を使っているわけではありません。都市ガス、電気、地域熱供給などを利用する施設もあるため、まずは自店の暖房と給湯が何をエネルギー源としているか、設備台帳や請求書で確認することが出発点です。

灯油を使用する店舗なら、前月・前年同月との比較は「支払金額」だけでなく、「1リットル単価」「購入数量」「営業日数」を分けて見ると原因を探りやすくなります。購入額が増えていても、それが単価の上昇によるものか、稼働時間や使用量の増加によるものかで取るべき対策は異なります。

たとえば前月より100リットル多く使ったのであれば、温度設定や運転時間、暖房する区画を調べます。使用量が同じで請求額だけ増えているなら、単価改定や配達条件の確認が先です。イベントや繁忙日に営業時間が長くなった店舗では、営業時間をそろえずに数字を比較すると、設備の効率低下と取り違える可能性があります。

暖房費の見直しでは、客席の温度を一律に下げる前に、窓際や出入口の冷気、閉店後の不要な運転、フィルターの清掃状況、暖房の対象区画を確認したいところです。店内の換気量や排気設備は衛生・安全上の条件とも関係するため、必要な換気を削って燃料代を抑える方法は取りません。

札幌市は事業者向けに「札幌版省エネ技術」の案内ページを公開し、冬季の省エネ・節電ガイドを紹介しています。設備の規模や使用状況によって優先策は変わるため、現場の運転記録と照らし合わせることが必要です。

配達契約の確認と、冬に向けた購入判断

冬の灯油代を管理するには、安い業者を探すだけでなく、契約内容をそろえて比べることが大切です。定期配送か都度注文か、表示価格は税込みか、配達料や最低注文量はあるか、価格改定の通知方法は何か。確認する条件が違えば、1リットル当たりの表示単価だけでの比較は不十分です。

マンションや賃貸住宅で灯油代が家賃とは別に請求される場合は、燃料供給の契約者が誰か、請求単価と使用量がどこに記載されるかを確認してください。共同タンクを使う建物では、自分で販売会社を選べない場合もあります。契約上の仕組みを確かめずに、他社の価格表をそのまま自宅の単価として使わないことが重要です。

流通不安の報道を受けて、必要以上に買いだめしたくなる人もいるかもしれません。しかし、家庭用タンクや携行容器には適切な管理が必要であり、在庫や容器の安全条件を無視した保管は推奨できません。通常の使用量と次回配送日を確認し、不安がある場合は契約している販売店に配達の見通しを尋ねるのが現実的です。

価格を追う場合は、札幌市の月次調査と、北海道の物価情報を使い分けられます。前者は札幌市の多量配達平均、後者は道内の石油製品の動向を確認する入口です。契約先の最新単価は、どちらの統計よりも自身の請求判断に直結します。

10月24日時点で確かなのは、札幌の平均配達価格が上がり、道と国が価格・流通の両面で対応を進めていることです。11月以降の追加対策が各家庭や店舗の請求にいつ、どの程度反映されるかは、今後の価格公表と販売事業者の案内を確認する必要があります。暖房を必要なだけ使える環境を守りながら、室温、窓、運転時間、契約単価を見直すことが、足元で取れる対策です。


札幌市の灯油価格は、10月調査で前月から1リットル当たり11円以上上昇しました。家庭では冬の支出に直結し、灯油を使う店舗では仕入れ単価だけでなく、使用量と営業時間の管理も重要になります。
国の対策による価格への影響を見極めるには、補助制度の発表だけでなく、その後の小売価格の推移を見る必要があります。