国の災害対策を担う新しい行政機関「防災庁」が、2026年11月2日(月)に発足する予定です。政府は発足日に、国民・自治体・各省庁に向けて防災体制や日頃の備えを強化する「緊急要請」を発表する方針も示しています。11月1日の時点では要請の正式な文面は公表前ですが、食料や水、トイレの備え、家具の転倒防止などが呼びかけの対象として挙げられています。
北海道では2018年の北海道胆振東部地震で、札幌市内も強い揺れと大規模停電を経験しました。これから気温が下がる時期は、停電中の寒さや冬道での避難にも目を向ける必要があります。防災庁の設置と政府の発信を受け、今ある備えを何から点検できるのか。国と自治体の公表資料を基に、札幌中心部の購入先とあわせて確認します。
防災庁が11月2日に発足へ これまでの防災行政と何が変わる?
政府は9月25日、防災庁設置法の施行期日を11月2日とすることを閣議決定したと発表しました。内閣府の防災担当が担ってきた仕事を引き継ぎ、災害が起きる前の対策から、発生時の対応、被災後の復旧・復興までを一貫して調整する組織として設置されます。
2026年版防災白書によると、防災庁は内閣に置かれ、防災政策の企画立案や関係機関との総合調整、大規模災害への対応、研究開発などを担います。災害対策の仕事が今回初めて国に生まれるわけではなく、従来の行政機能を組み替えて司令塔としての役割を強める点が特徴です。
組織は総合政策、災害事態対処、防災計画、地域防災の4部門で構成される予定です。総合政策部門では施策の調整や技術開発、災害事態対処部門では大規模災害への対応や訓練・人材育成、防災計画部門では災害リスクの評価や事前対策、地域防災部門では地方自治体などとの連携を扱います。
防災大臣には関係行政機関の長に対する勧告権なども位置付けられています。ただし、国の機関ができることで、市町村による避難所運営や地域の備えがすべて国の仕事に置き換わるわけではありません。10月20日の大臣会見でも、平時は市町村の準備を後押しし、対応が難しい大規模災害では都道府県や国が支えるという役割分担が説明されました。
発足日に「緊急要請」へ 何が呼びかけられる?
10月13日の会見で細野豪志防災担当大臣は、防災庁の発足に合わせて防災体制を強化するための「緊急要請」を出す考えを説明しました。さらに10月20日の会見では、少なくとも国民、自治体、各省庁の3つを対象にする方針を明らかにしています。
国民に向けて念頭に置いているのは、災害直後を自分たちでしのぐための準備です。大臣は食事やトイレの備えに加え、建物の倒壊や家具の落下を防ぐ対策に言及しました。自治体には備蓄や研修を含む災害対応体制の整備、各省庁にはそれぞれが所管する分野での備えを求める意向です。
なぜ発足のタイミングで呼びかけるのでしょうか。大臣は、災害の直後には住民一人ひとりの準備によって被害が変わること、自治体によっても備蓄や研修の状況に違いがあることを理由として挙げています。大規模な災害では行政による支援が届くまでに時間がかかる場合があります。国の体制を整えることと並行して、家庭や地域の備えも見直してほしいという趣旨です。
ここでいう緊急要請は、特定の日に地震が起きると予測した警報ではありません。また、要請の詳細や表現は11月2日の発表を待つ必要があります。発表後の正式な内容は内閣府の大臣会見記録など政府の公式発信で確認してください。
北海道の大地震と停電 冬の防災が重要な理由
北海道の住民にとって、災害への備えは遠い地域の話ではありません。2018年9月6日午前3時7分、胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。気象庁によると、厚真町で最大震度7を観測し、札幌市東区でも震度6弱を記録。地盤の液状化や住宅、道路の被害が生じました。
地震に伴い複数の発電所が停止し、道内全域で大規模停電が起きました。札幌市も当時の市長会見で、市内全域が停電し、復旧まで24時間以上を要した地域が多かったと説明しています。照明や携帯電話の充電だけでなく、住まいの設備や生活に必要なサービスが電気に依存していることを考えるきっかけになった災害です。
今後への備えとして、国は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による被害も想定しています。内閣府の2026年版防災白書では、積雪や凍結で避難速度が落ちること、津波から避難できても屋外で長時間過ごすことで低体温症の危険が生じることを、寒冷地特有の条件として取り上げています。
もちろん、太平洋沿岸の津波リスクと札幌市街地の災害リスクを同一視することはできません。住む場所によって必要な避難行動は異なります。それでも、停電、寒さ、雪で移動しにくくなることを想定し、防寒用品や情報収集の手段を日頃から準備する必要がある点は共通しています。防災庁の新設が北海道胆振東部地震だけを理由に決まったわけではないことも、区別しておきたいところです。
防災バッグと自宅の備蓄、まずは分けて考える
防災用品を買う前に確かめたいのは、避難時に持って出る物と、自宅に置いておく備蓄品では役割が違うことです。札幌市の備蓄品・非常持出品の案内は、安全が確保できれば自宅で生活を続ける「在宅避難」を想定した備蓄と、急いで避難する際の非常持出品を分けています。
持ち出し袋には、避難中すぐ使う物を
札幌市が挙げる非常持出品には、飲料水と非常食、懐中電灯・ヘッドライト、携帯ラジオ、常備薬を含む救急用品、衛生用品、携帯電話の充電器やモバイルバッテリー、現金、身分証、お薬手帳などがあります。アルミ製保温シートや着替え、雨を防ぐ衣類も対象です。
用意するときは、家族の人数だけを基準にせず、それぞれが必要な物を確認します。乳幼児のミルクやおむつ、普段使う薬、眼鏡、衛生用品などは、共通の防災セットだけでは補えない場合があります。すでに持っている物も、薬の使用期限、電池の状態、充電できる端子などを確かめておくと、買い直す必要がある物を絞れます。
袋は両手を空けられるリュックサックが便利とされています。水や食品を詰め込みすぎず、背負って歩ける重さか実際に確認することも重要です。災害時に倒壊や津波などの危険が迫っている場合は、持出袋を探したり取りに戻ったりせず、避難を優先してください。
家には「人数×最低3日分」、できれば1週間分
札幌市と北海道は、食料や飲料水などを最低3日分、できれば1週間分、人数に応じて備蓄するよう案内しています。飲料水の目安は1人1日3リットルです。2人暮らしなら3日分で18リットル、1週間分では42リットルとなります。これをすべて避難用のリュックに入れるのではなく、自宅に備えておく量として考えます。
トイレも見落とせません。札幌市が示す簡易トイレの目安は1人1日5回分。2人が3日間使うなら30回分、1週間なら70回分が計算上の目安になります。水道が使えない状況では、飲む水だけあっても生活は成り立ちません。便器に取り付ける携帯トイレなど、住まいの設備に合う用品を確認しておきましょう。
食品はレトルト食品や缶詰、乾麺、菓子など、普段も食べられる物を少し多めに購入して使った分を補う方法があります。カセットコンロとガスボンベ、ランタン、充電手段、ウェットティッシュやトイレットペーパーも、停電や断水を想定した備蓄品として札幌市が紹介しています。調理器具やガス用品は、製品の使用条件と換気上の注意を守ることが前提です。
札幌中心部で防災グッズを探すなら 購入先3店舗
防災用品は専門店だけでなく、生活雑貨店でも探せます。ここでは札幌駅・大通・すすきのの中心部から、店舗の存在と防災用品の取り扱いに関する公式案内を確認できた3店を掲載します。すべての防災用品を網羅する一覧でも、人気順のランキングでもありません。所在地・通常営業時間は2026年10月27日に各社の公式ページで確認した情報です。販売品目、個別商品の価格、在庫、臨時休業は来店時に変わる場合があります。
ハンズ札幌店|道具や安全用品を探したいとき
さっぽろ東急百貨店8階のハンズ札幌店は、公式フロアガイドの「ツール&マテリアル」に防犯・防災・安全用品を掲げています。補修用品や電池・電気部材なども同じフロアで扱うため、家庭の転倒防止用品や防災用の道具を探す際の候補になります。
所在地は札幌市中央区北4条西2丁目、さっぽろ東急百貨店8階。通常営業時間は10時~20時、店舗電話番号は011-218-6111です。JR札幌駅南口から徒歩約3分と案内されています。公式フロアガイドで売場を確認し、Googleマップで場所を見ることができます。
無印良品 札幌パルコ|備蓄食品と携帯用品を一緒に
無印良品の札幌パルコ店は、2026年3月9日付の店舗公式記事で「いつものもしも」の防災用品を紹介しています。乾電池、LED懐中電灯、エマージェンシーシート、備蓄食品などを6階の売場で案内しました。公式記事に記載された税込価格は、単3・単4アルカリ乾電池が120円、エマージェンシーシートが490円、備蓄ごはんの白米が390円。いずれも3月の掲載時点の価格です。
住所は札幌市中央区南1条西3丁目、札幌パルコ本館5~6階。通常営業時間は10時~20時、電話番号は011-218-5268です。店舗公式ページには、電話による在庫確認や取り置きは行わないと記載されています。防災用品を紹介した店舗記事とGoogleマップで位置を確認できます。
DAISO COCONOSUSUKINO店|小物や生活用品の不足を補う候補
すすきの交差点近くのCOCONO SUSUKINO2階には、DAISO COCONOSUSUKINO店があります。ダイソーは2026年3月の公式案内で、避難時や避難生活に使う防災グッズを税込110~1,100円の価格帯で紹介しています。ただし、この価格帯はブランド全体の商品案内であり、すすきの店に同じ商品がそろっているという意味ではありません。商品ごとの品揃えは店舗で異なると明記されています。
所在地は札幌市中央区南4条西4丁目1-1、COCONO SUSUKINO2階。通常営業時間は10時~21時です。ダイソー公式店舗ページとGoogleマップを確認してから訪問してください。目当ての商品が決まっていれば、公式案内の在庫検索アプリも確認先になります。
北海道の冬は何を追加する? 寒さと停電への備え
同じ防災バッグでも、夏と冬では中身を見直す必要があります。札幌市の案内では、冬の持出品としてジャンパーやスキーウェアなどの防寒着、使い捨てカイロを挙げています。自宅の寒さ対策には、温かい下着、ウールの靴下、ニット帽、湯たんぽなども例示しています。
外に避難する際は、体を冷やさないための上着や手袋、替えの靴下、濡れた衣類を交換できる着替えを、普段の持出品に追加することが考えられます。アルミ製保温シートは小さく収納できる一方、雪や雨で服が濡れれば保温だけでは十分でない場合があります。重くなりすぎない範囲で、寒さと濡れの両方を意識した組み合わせを考えることが大切です。
自宅にとどまれる状況を想定するなら、毛布や寝袋、カイロ、暖かい室内着といった用品も点検しておきます。電源がなくても使える暖房器具を備える場合は特に安全確認が必要です。石油ストーブやガスストーブなどの燃焼器具は、換気不足によって一酸化炭素中毒を起こす危険があります。停電中だからといって、使用が認められていない屋内や閉め切った場所で燃焼器具を使ってはいけません。使用前に取扱説明書と換気条件を確認してください。
冬の被害を考える際、寒さ対策は避難用の用品だけでは完結しません。札幌市内でも地域や建物によって想定される災害が違うため、自宅・職場の周辺にどのような危険があり、どこへ避難するのかを確かめておくことが必要です。札幌市防災アプリ「そなえ」では、避難場所や災害情報、ハザードマップ、非常持出品のチェックリストを確認できます。札幌市公式のアプリ案内から利用方法を確認できます。
防災庁の発足は国の体制を整える動きですが、家庭でできる準備は11月2日を待たずに始められます。まずは今ある水・食料・簡易トイレの量を人数で計算する。次に持出袋を背負ってみる。そして冬用の衣類や暖房の安全対策、避難先と連絡方法を見直す。今回の要請方針をきっかけに、必要な物と足りない備えを具体的に確かめることが、北海道の冬を迎える前の一歩になります。
防災庁の新設によって国の災害対応体制は変わりますが、家庭で必要な備えまで国が代わりに行うわけではありません。北海道胆振東部地震では、札幌市内でも広範囲の停電が発生しました。冬に向けては、食料や水だけでなく、停電時の防寒と安全な暖房方法を考えておくことが重要です。





