札幌市内でインフルエンザの感染拡大が進んでいます。札幌市が2026年10月8日に公表した情報によると、9月28日〜10月4日(第40週)の定点医療機関当たり患者報告数は10.95となり、注意報の基準値10を超えました。市内では8月の時点ですでに流行が始まっており、冬を迎える前から注意が必要な状況です。
これから予防接種を受けたい人にとっては、札幌市の2026年度の制度も重要です。65歳以上などを対象とするインフルエンザ定期予防接種は10月1日に始まり、原則として自己負担1,400円で受けられます。ただし、年齢や住民登録、障がいの条件があり、すべての人にこの料金が適用されるわけではありません。
以下の流行状況と接種制度は、2026年10月8日までに公表された札幌市・厚生労働省の情報に基づきます。10月15日の掲載時点では新たな週報が出ている可能性があるため、直近の数字は札幌市の発表も併せて確認してください。
札幌市で注意報の基準を超える 10月8日公表の最新状況
札幌市によると、2026年第34週(8月17〜23日)のインフルエンザ患者報告数は、定点医療機関当たり1.12でした。流行開始の目安である1.00を上回ったことから、市は8月27日に流行入りを知らせています。流行入りの発表日が10月ではない点は、今回のニュースを読むうえで押さえておきたいところです。
その後、第36週(8月31日〜9月6日)は2.31、第37週(9月7〜13日)は3.86、第38週(9月14〜20日)は5.14、第39週(9月21〜27日)は3.98でした。いったん前週を下回りましたが、第40週(9月28日〜10月4日)には10.95へ増加しています。これらは医療機関からの報告を一定の方法で集計した値であり、札幌市内の感染者総数ではありません。
「10.95人」は市内の患者が約11人だけという意味ではなく、対象となる定点医療機関1か所当たりの1週間の平均報告数です。また、注意報基準の10を超えたことと、警報基準の30に達したことは別です。数字を比較するときは、同じ地域・同じ集計方法・同じ週のデータかを確認する必要があります。
市は10月8日時点で、インフルエンザによる学級閉鎖等が発生していることも公表しています。ただし、学級閉鎖の発生を、そのまますすきの周辺や特定の施設の感染状況に置き換えることはできません。学校の情報と一般の患者報告数は、それぞれ別の指標として見る必要があります。最新の数値と流行マップは札幌市の感染症発生状況から確認できます。
「注意報水準」は何を示すのか
注意報の基準を超えたという情報は、感染を避けるための行動を考える材料です。一方で、個人が必ず感染するという予測でも、札幌市内のすべての地区で同じ程度の流行が生じているという意味でもありません。旅行先や職場、学校ごとの危険度を数値だけで判断することはできません。
札幌市衛生研究所は感染症の発生動向を原則毎週木曜日に更新し、速報値は後日訂正されることがあると案内しています。10月15日の更新でさらに報告数が増えるか、減るかは10月8日時点では決まっていません。今回の数値を「ピーク」と決めつけず、複数週の変化を継続して見ることが重要です。
厚生労働省の2026年9月30日版Q&Aでは、季節性インフルエンザの流行時期は例年12月〜3月と説明されています。ただし2026年は全国でも例年より早い時期に流行入りが公表されました。例年の季節感だけを頼りに、まだ予防策は不要だと判断しない方がよい状況です。
発熱やせきがあるとき インフルエンザを疑う目安
札幌市と厚生労働省は、インフルエンザの主な症状として、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の強いだるさなどが比較的急に現れることを挙げています。のどの痛み、鼻水、せきを伴う場合もあります。ただし、症状だけでインフルエンザか新型コロナウイルス感染症か、ほかの病気かを確定することはできません。
特に高齢者や免疫機能が低下している人は、肺炎などの合併症に注意が必要です。子どもでは、まれに急性脳症が起こる場合もあります。呼吸が苦しい、意識の状態がおかしい、高熱が続くなど、具合が悪いときは早めに医療機関へ相談してください。緊急性が高く救急車が必要な場合は、相談窓口を経由せず119番に連絡します。
発症した直後に一律に薬を飲むという話でもありません。厚生労働省によれば、抗インフルエンザウイルス薬は発症後48時間以内に使うことで発熱期間を短縮する効果が期待できますが、すべての患者に必須ではありません。症状の重さ、年齢、持病、発症からの時間などを医師が判断します。自己判断で手元の薬を使用したり、受診の必要性を決めたりすることは避けてください。
すすきの・大通への外出、飲食店の利用で気をつけたいこと
すすきのは飲食店などが集まる地域で、札幌市中心部では観光や買い物、通勤で人と接する機会があります。混雑した場所を利用する場合も、基本になるのは手洗い、咳エチケット、換気といった感染対策です。これは特定の店舗で感染が広がっているという意味ではなく、厚生労働省が急性呼吸器感染症全般に示す対策を、街中での行動に当てはめたものです。
例えば、飲食店での食事やイベント参加を予定していても、当日に発熱やせき、強いだるさがある場合は外出を控える判断が必要です。旅行者であれば、滞在先で体調を崩したときに備え、受診できる医療機関の探し方をあらかじめ調べておくと対応しやすくなります。人混みを避けにくい予定では、移動や滞在時間を見直すことも検討できます。
せきやくしゃみが出るときは、不織布マスクの着用や、ティッシュ・腕の内側で口と鼻を覆う対応が推奨されています。使用したティッシュはすぐに捨て、手を洗います。マスクの着用は原則として個人の判断ですが、施設が感染対策のために求める場合もあるため、訪問先の案内も確認してください。なお、2歳未満の子どもにはマスクの着用は勧められていません。
帰宅後の手洗いに加え、室内をこまめに換気し、睡眠や食事を確保することも札幌市が示す予防策です。気温が下がって窓を開けにくい時期でも、換気そのものをやめてよいという意味ではありません。無理のない方法で空気を入れ替えることが基本です。
高齢者の定期予防接種は10月1日から 対象者と料金
札幌市の2026年度高齢者インフルエンザ定期予防接種は、2026年10月1日から2027年1月31日まで実施する制度です。接種料金は1回1,400円、定期接種として受けられるのは実施期間内に1回です。期間中でも医療機関によって接種できない日があり、事前予約が必要な場合や、かかりつけ患者のみを受け付ける場合があります。
対象は原則として札幌市に住民登録があり、接種日時点で65歳以上の人です。もう一つの対象は、接種日時点で60歳以上65歳未満で、心臓、じん臓、呼吸器、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に一定の障がいがある人です。後者は身体障害者手帳1級相当の条件があり、別の理由で手帳1級を持っているだけでは該当しません。
原発避難者特例法に基づく所定の届け出を行った人については、札幌市民と同様に対象となる例外が設けられています。札幌市内に通勤・通学していることや、観光で滞在していることだけで、市の定期接種対象になるわけではありません。他市町村に住んでいる人は、住民登録のある自治体の制度を確認してください。
1,400円が免除されるのはどんな人?
定期接種の対象者のうち、生活保護受給世帯の人と、世帯全員が市民税非課税の人は、必要な証明書類を提示すると接種料金が免除されます。生活保護受給証明書や、市の案内で指定された介護保険料の通知書、課税証明書などが該当します。
注意したいのは、非課税世帯なら証明書なしで自動的に無料になるわけではないことです。札幌市は、接種時に医療機関へ必要書類を提出するよう求めており、後からの返金には対応しないと案内しています。2026年度の介護保険料の通知書では、世帯全員が非課税でも保険料段階が第4段階以上になる場合があり、その際は別の証明書が必要です。
料金の免除を考えている人は、予約する医療機関に、どの書類を持参すればよいか先に確認してください。詳しい条件と書類の種類は札幌市の高齢者インフルエンザ定期予防接種の案内に掲載されています。
受診前に確認すること・持参するもの
接種当日は、氏名・生年月日・住所が分かるマイナンバーカードや運転免許証、資格確認書などを提示します。60歳以上65歳未満の障がい要件に該当する人は、身体障害者手帳などの確認書類が必要です。料金免除を利用する場合は、その証明書類も忘れずに用意してください。予診票は実施医療機関に用意されています。
接種を受ける病院や診療所は、市が公開する実施医療機関への案内から探せます。電話で予約の有無、当日の受付時間、ワクチンの取扱状況を確認してから向かうのが確実です。定期接種の対象外の人が同じ医療機関で任意接種を受けられるか、いくらかかるかは別途確認が必要です。
65歳未満の人や子どもの接種はどうなる?
札幌市の高齢者定期接種の対象外であっても、インフルエンザの予防接種を受けること自体は可能です。ただし、一般に任意接種となり、費用は医療機関ごとに異なります。市の定期接種で示されている1,400円を、若い世代や子どもの料金と取り違えないでください。
札幌市は注射によるインフルエンザワクチンの接種回数について、13歳以上は原則1回、13歳未満は2回と案内しています。ただし、医師が医学的な理由から異なる対応を判断する場合があります。また、ワクチンの種類や年齢によって対象が異なるため、子どもの接種方法は医療機関で確認してください。
予防接種は、ウイルスへの感染を完全に防ぐものではありません。厚生労働省は、発病を一定程度予防し、重症化や死亡のリスクを減らす効果があるとしています。接種した直後から十分な効果が生じるわけでもなく、札幌市は免疫ができるまでに2週間程度かかると案内しています。流行が進んでいる今は、接種予定日を決めるだけでなく、日々の感染対策を併せて行う必要があります。
2026年度は75歳以上向け高用量ワクチンの導入が見送りに
予防接種の制度で特に間違いやすいのが、75歳以上の人向けに予定されていた高用量インフルエンザワクチンです。札幌市は当初、75歳以上の人が新しい高用量ワクチンを選択できる見込みを案内していましたが、国の方針によって定期接種への導入が見送られたと、2026年10月6日更新の公式ページで明記しています。
したがって、過去の予定に基づいて「札幌市の定期接種で高用量ワクチンを選べる」と案内するのは正確ではありません。75歳以上の人も、現在の市の案内と医療機関が実施する接種内容を確認してください。ワクチンの種類に関する判断が必要な場合は、かかりつけ医へ相談することが基本です。
感染したら何日休む? 学校と職場で異なる考え方
厚生労働省によると、インフルエンザでは発症前日から発症後3〜7日間ほど感染性のウイルスを排出することがあり、特に発症後1〜3日間は外出を控える必要があります。熱が下がっても感染性がすぐになくなるとは限りません。せきが続く場合は、不織布マスクなどで周囲への感染を防ぐ配慮が必要です。
学校保健安全法施行規則上、インフルエンザにかかった児童生徒の出席停止期間は、原則として発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまでです。幼児では解熱後3日となります。ただし、学校医などが感染のおそれはないと認めた場合の例外があります。発症日や解熱日の数え方は学校・園の案内にも従ってください。
この学校の基準を、そのまま会社員や飲食店従業員に一律の法律上の出勤停止期間として当てはめることはできません。勤務先の就業規則や医師の指示を踏まえ、体調と周囲への感染リスクに配慮することになります。また、厚生労働省は、従業員が欠勤や職場復帰のために罹患証明書、治癒証明書、陰性証明書などを提出するよう求めることは望ましくなく、提出は不要としています。
夜間・休日に体調を崩したら 札幌市の相談先
すすきの周辺で夜間に体調が悪くなった場合や、旅行中に発熱して受診先が分からない場合には、札幌市の救急医療情報を利用できます。市の「救急安心センターさっぽろ」は看護師が24時間365日対応する電話相談窓口です。救急車を呼ぶべきか、受診すべきか判断に迷うときは「#7119」、つながらない電話などからは「011-272-7119」に相談できます。通話料はかかります。
今すぐ受診できる医療機関を探す場合は、札幌市の救急当番医療機関や、救急安心センターさっぽろの案内を確認してください。#7119は薬の飲み方など日常的な治療相談を受け付ける窓口ではありません。症状が明らかに重く、救急車が必要なときは直接119番に連絡します。
最新の流行数値と予防接種情報はどこで確認できる?
流行の報告数は週ごとに変わります。札幌市の「感染症の発生状況」には、インフルエンザの流行状況や学級閉鎖等の情報が掲載されています。また、札幌市衛生研究所の感染症発生動向でも週ごとの数字を確認できます。更新された週を見て、いつの報告値なのかまで確認することが大切です。
高齢者向け定期接種の対象者、接種期間、料金、免除書類の最新情報は札幌市の予防接種公式ページに掲載されています。症状や感染防止、治療薬、ワクチンの一般的な考え方は厚生労働省の2026年度Q&Aも参照できます。
10月8日時点の札幌市の患者報告数は注意報基準を超えています。市内で暮らす人も、すすきのを訪れる人も、症状があるときは予定を見直し、接種を希望する場合は自身が定期接種の対象かどうかを確認することが必要です。10月15日以降の感染状況については、その日付で公表された情報を確認してください。
冬本番を前に注意報基準を超えました。すすきのなど人が集まる地域では、体調が悪いときに外出を控える判断と、日頃の感染対策が重要です。





