札幌市消防局は、2026年10月15日(木)から31日(土)までの17日間、市内全域で「秋の火災予防運動」を実施します。暖房器具を使い始める時期に合わせた取り組みで、今年はストーブなどによる火災の防止に加え、モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池の火災予防も呼びかけています。
寒くなってから初めてストーブのスイッチを入れる前に、確認したいのは本体のほこりやコードの傷み、周囲の衣類や紙類、そして火災警報器の状態です。飲食店や宿泊施設などを利用する場合も、避難口や通路をふさぐ物がないかが重要になります。
秋の火災予防運動は10月15日から31日まで
札幌市消防局が公表した2026年の実施期間は、10月15日から10月31日までです。市内全域を対象に、火災の発生防止と被害軽減に向けた広報・啓発活動を行う予定です。2026年度の全国統一防火標語は「火の確認 いい日を支える いい習慣」。実施期間や標語は、札幌市の火災予防運動の案内と北消防署の2026年の告知で確認できます。
「秋の火災予防運動は11月ではないのか」と思う人もいるかもしれません。全国の秋季火災予防運動は11月9日~15日ですが、北海道の秋の火災予防運動は10月15日~31日です。日程が異なるのは地域の実施期間の違いで、札幌市が今年だけ日付を変更したという意味ではありません。
南消防署の10月6日更新の案内では、重点として「ストーブ等による火災防止」と「リチウムイオン電池に起因する電気火災の予防」を挙げています。秋口の乾燥、調理中の火の管理、住宅用火災警報器の点検についても注意を呼びかけています。期間中の街頭活動は消防署ごとに案内されており、全ての区で同じ日時・会場で開催されるわけではありません。
暖房を使い始める秋、札幌で起きている火災は
暖房シーズンに注意が必要なのは、過去の市内の記録からも分かります。札幌市手稲消防署が2025年10月15日に公表した資料によると、2024年に札幌市内で発生したストーブ火災は29件でした。同署は、ストーブを使い始める10月ごろから件数が増えると説明しています。これは2024年の年間集計を振り返った数字であり、2026年の発生件数や、すすきのだけの件数ではありません。
また、市消防局は、充電式電池に起因する火災が市内で増えているとして注意を促しています。ただし、今回確認した公式の案内には、2026年10月時点の全市の確定件数や、すすきの地区に限った増加率は示されていません。「すすきので火災が急増している」と読み替えることはできません。
数字から読み取れるのは、灯油やガスの火を使う機器だけに気を付ければよいわけではない、という点です。ストーブの配置、コンセント、スマートフォンの充電、火災に気付くための設備まで、生活のいくつかの場所を分けて確認する必要があります。
ストーブをつける前に確認したい5つのこと
1.本体と吸気口のほこりを取り除く
暖房器具をしばらく使っていなかった場合、札幌市豊平消防署は使用前に取扱説明書に従って点検し、空気の取り入れ口などに付いたほこりやごみを取り除くよう求めています。電源コードの被覆が裂けていないか、異常な臭いや音がしないかも確認項目です。見た目がきれいでも内部の状態まで分かるわけではありません。
異臭や煙などの異常がある場合は運転を停止し、販売店や専門業者に相談してください。分解や修理を自己判断で行うのではなく、機種に合った方法で点検することが大切です。札幌市は、灯油ストーブなどの点検・整備について、市に届出のあった業者の一覧も公開しています。ただし、一覧への掲載は全機種の対応や点検結果を保証するものではないため、依頼前に対応範囲を確認する必要があります。
2.衣類や布団、紙類を離して置く
ストーブの近くに洗濯物を干したり、寝具や紙袋を寄せて置いたりすると、熱や接触による火災につながります。上に干していた衣類が落ちる危険にも注意が必要です。札幌市は、燃えやすい物の近くや、物が上から落下するおそれのある場所でストーブを使わないよう案内しています。
部屋が狭いから仕方がない、と周囲の物を残したまま使うのは避けたいところです。機器ごとに必要な離隔距離は異なるため、取扱説明書に従って配置してください。電気ストーブも、炎が見えないから燃え移らないというわけではありません。カーテンや衣類と接近させないことが基本です。
3.灯油の給油時は消火し、燃料を間違えない
石油ストーブに給油する際は、必ず火を消し、機器が熱いうちの作業を避けてください。札幌市消防局は、灯油ストーブへのガソリン誤給油にも警告しています。ガソリンは灯油より揮発しやすく、誤って入れると異常燃焼や燃料の漏出、引火につながる危険があります。
家庭で灯油とガソリンの両方を保管する場合は、容器の表示や保管場所を分けるといった対策が必要です。古くなって色や臭いが変わった灯油をそのまま使わないことも、市消防局が示す注意点の一つです。自宅のストーブに使える燃料の種類を確認し、不明な燃料を試しに入れることはしないでください。
4.電源コードやコンセントの状態を見る
電気ストーブやファンヒーターを使う部屋では、器具本体だけでなく配線も確認しましょう。札幌市消防局は、コードを束ねたまま使用すること、家具の下敷きにすること、コンセントの許容範囲を超える接続をすることの危険性を説明しています。消費電力の大きな機器を同じ場所で使う際は、延長コードなどの定格にも注意が必要です。
コンセント周辺にほこりがたまったままになると、湿気を含んだほこりを介して発火する「トラッキング現象」の原因になります。焦げた跡がある、プラグが異常に熱い、コードを動かすと電源が切れるといった兆候があれば使用を中止し、機器や配線を点検してください。
5.就寝・外出時の取り扱いを確認する
札幌市消防局は、ストーブについて外出時や就寝時に火を消すよう呼びかけています。タイマーや安全装置があっても、周りに燃えやすい物を置いてよい理由にはなりません。耐震自動消火装置や過熱防止装置などの機能も確認し、説明書に沿って使用することが大切です。
屋外に給排気するFF式ストーブやボイラーでは、積雪期に給排気筒が雪でふさがれると不完全燃焼や一酸化炭素中毒につながるおそれもあります。これは炎が燃え移る火災とは別の危険です。札幌市は冬季に給排気口を確認するよう案内しており、秋の点検時点で屋外の位置や点検方法を把握しておくことができます。
モバイルバッテリーの発火にも注意
2026年の秋の火災予防運動で、ストーブと並んで挙げられているのがリチウムイオン電池です。スマートフォン用のモバイルバッテリーだけでなく、ハンディファン、電子たばこ、コードレス掃除機などにも使われています。札幌市消防局は、電池に強い衝撃や圧力が加わること、高温の環境に置かれることによる危険を示しています。
例えば、充電池を入れた機器を暖房器具のすぐそばに置く、布団の上で充電する、落として変形した電池を使い続けるといった取り扱いは避けてください。充電中は熱のこもりにくい場所を選び、製造元が指定する充電器や取り扱い方法を守ります。本体の膨らみ、異常な発熱、異臭などが現れたら使用を中止してください。
購入する際は製品の安全表示やリコール情報を確認することも重要です。札幌市は、電気用品安全法の対象となる製品に表示されるPSEマークの確認や、指定外の非純正バッテリーへの注意を呼びかけています。ただし、マークがあれば故障や事故が絶対に起きないという意味ではありません。購入後の使い方や状態の確認も必要です。
捨てるときも通常のごみ袋には入れない
使わなくなったモバイルバッテリーなど、製品から取り外したリチウムイオン電池は、札幌市のごみステーションには出せません。収集車やごみ処理施設で圧力がかかると、発煙・発火するおそれがあるためです。
札幌市のリチウムイオン電池の出し方では、リサイクルマークがあり、破損・膨張していない取り外し済み電池は、一般社団法人JBRCの回収協力店に持ち込めると案内しています。一方、破損・膨張した電池やマークのない電池については、市役所本庁舎12階、清掃事務所、地区リサイクルセンターなどの回収拠点を示しています。電池を取り外せない製品は品目ごとに方法が異なるため、製品全体を同じ回収箱へ入れてよいとは限りません。
破損した電池を無理に分解したり、通常のごみに紛れ込ませたりせず、札幌市の案内で該当する回収先を調べてください。回収対象や受付方法は施設によって異なる場合があるため、持ち込む前に最新の受け入れ条件を確かめると確実です。
住宅用火災警報器、札幌市では台所にも設置義務
火災を起こさない対策に加えて、発生した火災に早く気付くための設備も欠かせません。住宅用火災警報器は、煙や熱を感知して音などで知らせる装置です。札幌市では、新築住宅について2006年6月から、既存住宅を含む全住宅について2008年6月から設置が義務付けられています。
設置が必要なのは寝室や、寝室につながる階段だけではありません。札幌市では台所にも設置義務があります。寝室と階段は煙式、台所は煙式または熱式が認められています。住宅の間取りによっては一定の条件を満たす廊下にも必要です。また、該当部分に自動火災報知設備やスプリンクラー設備などが設置されている場合は、住宅用警報器の設置が免除されることがあります。
警報器は設置しただけで終わりではありません。札幌市は月1回程度、テストボタンやひもで作動を確かめ、設置から10年を目安に本体を交換するよう案内しています。電池切れや故障の警告音と火災を知らせる警報は異なる場合があるため、音の意味は製品の説明書で確認してください。故障が疑われる機器をそのまま放置しないことも重要です。
賃貸住宅では、警報器を誰が設置・維持管理するかを所有者・管理者・占有者などの関係者で話し合うよう市が案内しています。入居者が自分で交換費用を負担するとは一律に決まっていません。警報器がない、電池切れの音がする、作動を確認できない場合は、賃貸借契約や管理会社への連絡先を確認してください。詳しい設置場所は札幌市の住宅用火災警報器の案内で確認できます。
65歳以上のみの世帯には自動消火装置の助成制度も
札幌市には、火災時の熱を感知して消火薬剤を放出する自動消火装置の設置費助成制度があります。市消防局の2026年10月2日更新の案内によると、対象となるのは、札幌市内に住む65歳以上の人だけで構成される世帯で、市に届出のある登録販売店から対象装置を購入・設置する場合です。世帯に65歳未満の人が含まれる場合などは、同じ条件で利用できるわけではありません。
2026年度の助成は、1台当たり購入・設置費用の最大28,700円、1世帯2台までで最大57,400円です。年度の助成予定台数は52台で、申請受付は4月1日に始まっています。申請前に購入した装置が自動的に助成対象になるわけではなく、登録販売店への相談・見積もり、申請審査、交付決定を経て設置する手順が案内されています。
対象装置にはレンジフード設置型、壁面設置型、天井設置型などがあります。台所やストーブの設置状況により選択肢が異なるため、購入前に販売店と相談する必要があります。制度の適用可否や2026年度の受付状況は札幌市の自動消火装置設置費助成事業で確認できます。相談窓口は札幌市消防局予防部予防課(011-215-2040)です。
すすきのの飲食店・テナントにも関係する防火対策
すすきのを利用する人にとっては、自宅の暖房とは別に、店舗や複合ビルの防火管理も関係します。札幌市消防局は、飲食店や観光施設など不特定多数が利用する施設を対象に、火災危険や消防法令違反の解消に向けた立入検査を行うと案内しています。これをもって特定の店舗に問題があると示すものではありません。
とくに確認したいのは、廊下や階段、避難口に荷物などが置かれていないかという点です。火災が起きたときに避難が妨げられないよう、消防法では一定の建物の管理権原者に避難上必要な施設の維持管理を求めています。避難経路を物でふさがないことや防火戸の閉鎖を妨げないことは、来店客の安全に直接関係します。
また、建物の用途や収容人数などの条件に応じて、防火管理者の選任や消防計画の作成などが必要になる場合があります。札幌市の案内では、飲食店・店舗・ホテルなどは代表的な例として収容人数30人以上が防火管理者選任の基準の一つに挙げられていますが、複合用途や施設の区分によって条件は異なります。「どの小さな飲食店にも同じ人数基準が適用される」という理解は正確ではありません。
店舗の管理者は厨房での火の取り扱いに加え、避難誘導の手順や、建物全体の管理者との役割分担を確認しておく必要があります。利用客の側でも、入店時に非常口の位置を確かめ、通路がふさがれていないか意識することができます。なお、今回の調査ではすすきの地区だけの2026年秋の火災発生件数を確認できていないため、当地域で特に増加しているとは判断していません。
もし火災を発見したら、119番と避難を優先
日常の点検と、火災が起きた際の対応は分けて考える必要があります。札幌市消防局は、火災を発見したら大きな声で周囲に知らせ、一刻も早く119番通報をするよう案内しています。小さな火であっても、通報を後回しにして一人で対応し続けることは避けてください。
初期消火について市は、炎が自分の身長より低く、煙が薄く、近くに消火器がある場合などの条件を示しています。炎が大きい、煙が濃い、逃げ道が確保できないといった状況では無理に消火を試みず、避難を優先してください。共同住宅や店舗では日頃から避難経路を複数確認し、出入口を荷物でふさがないことも重要です。
運動期間中の広報活動や防火相談の案内は、札幌市消防局の火災予防ページから確認できます。2026年10月8日時点で発表済みの日程を基にした内容のため、10月15日以降の街頭啓発行事の実施状況や助成制度の受付枠については、訪問・申込の前に各消防署または市消防局の最新情報を確認してください。
札幌の秋は、暖房器具を使い始める時期です。ストーブの点検だけでなく、充電池や火災警報器の確認も、家庭や店舗の安全対策につながります。





